相続が発生した時、何が必要になるか分かりますか?
遺産分割協議に入る前に、必要な手続きを済ませる必要があります。
今回は、不動産相続の流れと必要書類、複数の相続人がいる場合の方法について解説します。
相続が発生した時にやるべきこと
相続が発生した場合、不動産の相続があってもなくても行うべきことがあります。やるべき内容は多岐にわたりますが、以下の3つは必ず必要です。
- 死亡届けの提出
- 遺言書の有無の確認
- 相続人の確定
死亡届けの提出
相続が発生した時、まずやるべきことは「死亡届けの提出」です。
死亡の事実を知った時から7日以内(国外での死亡の場合は、その事実を知った時から3ヶ月以内)に提出することが戸籍法で定められています。
届け出先は死亡した被相続人の本籍地・死亡地、または届出人の住所地・所在地の市町村役場です。
遺言書の有無を確認
遺言がなければ遺産分割協議で配分を決定していきますが、遺言があれば遺言に従った遺産配分が可能です。
亡くなった人が自筆証書遺言を書いていた場合、相続人の誰かが保管場所を知らないと家中を探すことになります。自筆証書遺言の存在を知らない場合は、見つからないこともあるでしょう。
公正証書であれば全国の公証人が利用できる「遺言検索システム」で検索することで、存在が分かるようになっています。
なお、2020年7月10日から公証役場で自筆証書遺言を保管できるようになっています。被相続人が公証役場に自筆証書遺言を残している可能性を考えておくことが大切です。
相続人の確定
遺産分割協議を進める場合、相続人全員による協議になります。すべての相続人を確定させる必要で、1人でも欠けていれば無効です。
相続人の決め方は民法によって以下のとおり定められています。
- 被相続人の配偶者(妻・夫)は常に相続人
- 被相続人に子がいれば子が第1位の相続人
- 子がいない場合は、被相続人の直系尊属(両親)が第2位の相続人
- 子も両親もいない場合は、被相続人の兄弟姉妹が第3位の相続人
不動産相続に必要な書類
不動産相続は、誰が相続人としての権利を有するか客観的に分かるようにする必要があります。
そのため、まずは相続人全員の戸籍謄本が必要です。
そのほかにも、不動産登記には以下のとおり多くの書類の提出が求められます。
遺言書がない場合の不動産相続の必要書類
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書
- 被相続人の戸籍謄本
- 被相続人の住民票の除票
- 不動産の登記事項証明書
- 不動産を相続する相続人の住民票
- 不動産の固定資産税評価証明書
遺言や遺贈によって財産を取得する場合は、遺言書も必要になります。
自筆証書遺言・秘密証書遺言の場合は検認済みのものでないと利用できない点に注意が必要です。
相続人が複数いる場合の相続方法
相続財産の中でも、不動産は現金と違って均等に分けることが難しい財産です。相続人が1人なら問題ありませんが、複数の相続人がいる場合は遺産分割で困ることになるでしょう。
複数の相続人で不動産をどのように管理するべきなのか、いくつかの方法を紹介します。
現物相続
1つの不動産を相続人1人で相続する方法です。1人の相続人は不動産を、もう1人は同じ価値のある現金を相続します。
不動産以外にも相続財産がある場合に有効です。
代償分割
1人の相続人が不動産を相続し、残りの相続人に金銭を渡す方法です。相続財産が不動産しかない場合に利用できます。
ただし、不動産を相続した人が他の相続人に現金を渡せることが前提です。
換価分割
不動産を売却して現金に換える方法です。現金に換えることで遺産分割がしやすくなり、不動産の管理義務・納税の義務も無くなります。
ただし、相続した不動産が実家だった場合は、住む家を失うことになります。
共有相続
相続人の全員が共有する方法ですが、おすすめできる方法ではありません。貸出しなどをする際に全員の同意が必要で、トラブルの火種になることがあるためです。
まとめ
今回は、不動産を相続する際の必要書類、複数の相続人がいる場合の相続の考え方を解説しました。
相続登記の必要書類は多岐にわたるため、何が必要かあらかじめ把握しておきましょう。