親世代の財産を相続した時に、持ち家などの不動産を相続することがあります。
その際、固定資産税の支払いはどうすればいいのでしょうか?
今回は固定資産税の納税義務者を解説します。
相続した不動産の固定資産税はだれが払う?
固定資産税とは、土地や建物といった不動産を所有しているとかかる税金です。地方税の1種のため、固定資産がある市町村に対して税金を納めます。
固定資産税を納める義務があるのは原則として「1日1日現在で不動産を所有する人」です。
相続税額の確認方法
固定資産税の納税義務について知る前に、納税額の確認方法について知っておきましょう。固定資産税の納税額の計算方法は以下のとおりです。
固定資産評価額(課税標準額)×税率(標準税率:1.4%)
決められた固定資産税に従い、年4回に分けて支払います。
不動産を所有する人であれば、毎年送付される「固定資産税課税明細書」を見れば固定資産税評価額は分かります。
一方、自分で所有していない不動産の固定資産税評価額を調べることも可能です。各市町村に設置されている固定資産税課税台帳に記載されています。
故人の財産にも固定資産税はかかる
相続に関しても、固定資産税は関係してきます。
親が不動産を所有している場合、親名義の土地・建物にも固定資産税の納税義務があります。
大きく分けて「亡くなった年以前の固定資産税」「亡くなった年以降の固定資産税」に分けて解説します。
亡くなった年以前の固定資産税
亡くなった人が払うべき債務が合った場合、プラスの財産と同様に相続人が継承するのが原則です。
相続人が複数いた場合は、相続放棄した人を除く全員が固定資産税の全額について「連帯債務」を負います。
亡くなった時点で固定資産税を払い終えていれば問題ありませんし、自分が不動産を相続することが分かっているのなら悩むことはないでしょう。
しかし、遺産分割協議が長引くと、その間に固定資産税が発生することは考えられます。
その場合は、遺産分割が終わるまでは相続人の中で代表者を決めて、とりあえず納税を済ませておくことが大切です。固定資産税の納付が遅れるとペナルティとして延滞金が発生してしまいます。
立て替えたあとに正式な所有者と話し合い、払って置いた金額を回収するのが1つの方法です。
あるいは遺産分割協議が終わっていなくても不動産の正式な所有者だけは決まっているような場合、その所有者が支払うのも良いでしょう。
亡くなった年以降の固定資産税
1月1日時点で登記されている人が、固定資産税の納税義務者になります。
主に以下の3つのパターンが考えられます。
- 故人のまま
- 新しい所有者に変更済み
- 法定相続人の共有
登記が故人のままの場合は、相続人が納税義務者です。複数の相続人(共有)全員が固定資産税の全額に対する納税義務を負います。
すでに遺産分割協議が終了して1月1日の時点で相続登記が完了いる場合は、新しい所有者が納税義務者です。
また、1月1日時点で「法定相続登記」がなされている場合は、相続放棄した人も所有者として登録されているため、納税義務者となります。
相続放棄したのに納税義務者になっている場合は、納税義務者から抜ける手続きが必要です。
相続した不動産の相続税が払えない場合の対応方法
相続税が払えない場合は「延納」「物納」という選択肢があります。
結論としては、物納で不動産を納めるのではなく、不動産を売却して金銭で支払うのがおすすめです。
物納では時価ではなく、相続税評価額で計算されるためです。相続税評価額は時価の80%(土地の場合)が一般的ですから、単純に損をしてしまいます。
まとめ
今回は、相続した不動産の固定資産税について解説しました。
本人か相続人のいずれかが支払うことになる税金で、納税義務者は1月1日時点の登記内容によって異なります。
延滞税が発生しないよう、相続したら速やかに納税義務者のすり合わせを行いましょう。