相続財産に不動産が含まれていた場合、登記の手続きが必要です。司法書士に依頼するのが一般的ですが、自分で手続きを進めることもできます。
今回は、相続登記の必要書類について解説します。
どの相続でも共通で必要な書類
相続のパターンにより、必要な書類は変わってきます。とはいえ、どんな相続でも共通して必要な書類もあります。
共通で必要な書類は以下のとおりです。
登記原因証明情報
登記を行う理由を証明するべき情報のことを「登記原因証明情報」といいます。
相続のパターンに応じて必要書類が大きく異なりますが、「亡くなった人の住民票の除票」は共通で必要です。
亡くなった人の最後の住所地の市町村役場で取得できます。
住所証明情報
不動産を取得する人の住所を証明として「不動産取得者の住民票」が必要です。相続人の住所地の市町村役場で取得できます。
評価証明情報
不動産の価値を証明する書類として、「対象不動産の固定資産評価証明書」が必要です。相続登記申請を行う最新年度の書類が必要な点に注意してください。
登記申請書類
相続の内容を法務局へ申請するための書類として「相続登記申請書」を作成する必要があります。自分で申請するなら自分が、司法書士に依頼するなら司法書士が作成します。
代理権限証明情報
司法書士に手続きを一任する場合、代理権限を証明する書類として「委任状」が必要です。自分で手続きを進める場合には必要ありません。
書類作成に必要なもの
登記申請では提出する必要はないものの、登記申請書類の作成で利用する書類として「対象不動産の登記簿謄本(登記事項証明書)」があります。
全国どこの法務局でも取得でき、窓口か郵送かを選択して取得できます。
相続登記の必要書類は主に3パターンで分かれる
共通で必要になる書類以外の部分は、相続登記のパターンに応じて必要書類が変わります。相続のパターンとは、主に以下の3つを指します。
- 遺言がある場合
- 遺産分割協議を行う場合
- 法定相続の場合
これ以外にもありますが、今回はこの3パターンに絞って、「登記原因証明情報の必要書類」の違いを解説します。
1.遺言がある場合
亡くなった被相続人が遺言を遺していた場合、原則として遺言書の内容に沿って相続が行われます。その時に必要になる登記原因証明情報は以下のとおりです。
- 遺言
- 亡くなった人の戸籍謄本
- 不動産取得者の戸籍謄本
遺言がある場合の相続登記には、遺言そのものを提出が必要です。自筆証書・秘密証書の場合は検印済みが条件となります。
2.遺産分割協議を行う場合
遺産分割協議とは、遺産を相続する権利をもつ「相続人」が全員で集まって話し合い、誰がどの遺産を相続するか決めるパターンです。遺言が残されていない場合、遺産分割協議で相続人を決めることになります。
登記原因証明情報として、住民票の除票以外に以下の書類が必要です。
- 亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続関係説明図
- 遺産分割協議書
- 相続人全員の印鑑証明書
3.法定相続の場合
法定相続分として法律で定められた割合で相続するパターンです。必要な登記原因証明情報は以下のとおりです。
- 亡くなった人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本
- 相続関係説明図
遺産分割協議を行うパターンと比べて、遺産分割協議書と相続人全員の印鑑証明が抜けています。
相続登記は司法書士に依頼するのがおすすめ
ここまで紹介したように、相続登記に関する手続きは非常に複雑かつ、数多くの書類を集める必要があります。
必要書類を集めるだけで時間と手間がかかるため、葬儀後のバタバタする時期には手が付けられないこともあるでしょう。
コストはかかりますが、司法書士に任せてしまうのも1つの方法です。
まとめ
今回は、自分自身で相続登記を進める場合の必要書類について、3つのパターンに分けて解説しました。数多くの書類が必要になるため、漏れのないように慎重に手配を進めましょう。
難しいと感じた時は、速やかに司法書士への依頼に切り替えましょう。