以前、売却することによっても不動産は納税資金対策になるという解説をしました。
不動産を売却するタイミングによっては相続税が取得費として加算される、という話をしました。
相続税として納税した分、算出される譲渡益が相続税分引かれます。
結局のところそれに課税される所得税・住民税も少なくて済みます。
今回は不動産を売却ではなく活用した納税資金対策とその注意点を紹介します。
不動産の活用について
更地において不動産の有効活用を図ることを考えてみましょう。
有効活用すると、土地や建物の相続税評価額は軽減されます。
更地の上において貸家(貸家と土地は同一名義)を新築して賃貸すると、土地は貸家建付地として、建物は貸家として評価され、評価額がそれぞれ下がります。
貸家建付地の相続税評価額は「自用地とした場合の価額ー自用地とした場合の価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合」として評価されます。
貸家の相続税評価額は、「固定資産税評価額ー借家権の評価額×賃貸割合」です。
このように、更地に家を建てて人に貸すだけで相続税評価額は下がってくるのです。
不動産の活用の注意点
本来、不動産の有効活用は、相続税対策のためだけに行われるものではありません。
今後、少子高齢化が進展し人口減社会になると言われています。
そういった社会情勢を前提に考えると、不動産の有効活用が常に成功するとは限りません。
どのような用途の有効活用をどのような規模で実行するのか、次のような点を検討することが必要になります。
・法的規制
・交通条件(立地)
・環境適正
・市場性
・競合状況
・将来性
上記を検討し、事業計画を練ってみましょう。
借金をして賃貸不動産(賃貸アパートや賃貸マンションなど)を取得することがすぐさま相続税対策となるわけでないことも留意が必要です。
確かに、借入金は相続税の計算において控除することができるのです。
他方で、借入金の分だけ現金も増加します。
借入することが相続税の軽減に直結するものではないのです。
借入金により、取得する建物が固定資産税評価額(一般に、建築費の60%程度)により評価され、さらに、その建物が貸家として評価されることにより相続税評価額は軽減されるのです。
借入金は、事業収支計画において許容される範囲内において活用したいものです。
相続税対策だから、といって借入金比率を増やすことは避けたほうがいいでしょう。
まとめ
最近は原材料が高騰し、米国では住宅の価格が高騰しています。
日本もその影響が少なからずあります。
短期的な目線だけではなく、長期的に事業計画を練る必要があるのです。
ここは、よくシミュレーションされると良いでしょう。