相続の手続き

不動産登記について|相続で得た不動産の登記を放置したらどうなる?

不動産の相続に「登記」は付き物です。

登記とは、その物を自分のものだと第三者に示すためのもので、新しく不動産を取得した際や相続の際に手続きします。登記手続きは相続人が多ければ多いほど必要書類も増えたり、遺産分割協議書の作成など関係者が集まる機会も作らなくてはなりません。そのため登記自体を放置してしまうケースもちらほら見られます。

今回は不動産登記の全体的な流れと、登記しなかった場合のデメリットを紹介します。

不動産登記に必要な書類

不動産の登記が放置しがちになってしまう理由の一つに、用意する書類の多さが挙げられます。

  • 登記申請書
  • 当該不動産の登記事項証明書
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 被相続人の出生~現在の戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 遺産分割協議書
  • 遺言
  • 固定資産評価証明書
  • 実際に不動産を取得する人の住民票

基本的な書類がこちらですが、どの書類も当該不動産を管轄する法務局や役場で取得できます。遺産分割協議書や遺言がない場合もありますので、それぞれの相続により必要書類は異なります。

不動産登記の流れ

登記の申請は基本的に法務局で行いますが、郵送やオンライン申請も可能です。

その場では登記は終わらず、手続きをしてから1週間~10日後にもう一度法務局に行く必要があります。その際は身分証明書と印鑑を忘れずに持っていきましょう。

登録免許税について

登録免許税とは、登記する際にかかる税金です。この税率は登記の種類によって変わりますが、相続の場合は土地・建物一律で評価額に0.4%の額が登録免許税となります。

評価額は必要書類の固定資産評価証明書に記載されているため、登記手続きの前に概算を出すことをおすすめします。

登記されていない不動産を相続した場合

相続通りに登記が済まされていない不動産を受け取った際は、相続人たちがさかのぼり遺産分割協議書を作成しなければ新たな登記ができません。

例えば、被相続人である父の所有する実家を相続した際、祖父の登記までしか記されていなかった場合で考えてみましょう。父のするべきだった登記を現相続人がしなくてはなりません。この場合は祖父の法定相続人である祖母や祖父の子供(被相続人である父の兄弟)が参加する遺産分割協議書が必要です。

その不動産を受け取る可能性があった法定相続人全員の印鑑証明書などが必要であり、登記は遅ければ遅いほど煩雑になります。また登記を終えなければ、その不動産を売却・譲渡することもできません。

相続した不動産を登記しなかった場合

上記のように、相続人が登記を放置することで共同相続人にも負担を掛ける恐れがあります。

できるだけ早めに済ませておかなければ、年単位で後から手続きが複雑になるという大きなデメリットがありますが、登記の放置による罰則はありません。

また遺言がない場合、登記をしなければ相続人の持ち分以外の部分に関しては権利を主張することもできません。この点は以前は遺言があっても登記が必要でしたが、令和元年の民法改正により、遺言の効力が大きくなりました。

プロに依頼する場合

書類取得のため平日に行動したり法務局での手続きに不安がある方は、司法書士などプロに依頼すると良いでしょう。登録免許税や書類取得費用以外に、報酬が5~10万円程度発生します。この価格は相続人が多かったり、不動産の権利関係が複雑なほど上がります。

まとめ

今回は相続した不動産登記の流れや、登記しないことによるデメリットを紹介しました。

不動産の登記は必要書類も多く面倒ですが、早めに済ませておく手続きの一つです。親や孫世代まで登記していない不動産が残っていると、相続人(登記義務者)が認知症になり協議書を作るために後見人が必要になってしまうことも考えられます。

後々苦労を残さないためにも、登記手続きは忘れないうちに取り掛かったり、司法書士に依頼することをおすすめします。

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