不動産の買い換えの利点
不動産を買い換えることも相続税対策となることがあります。
たとえば、事業用の土地を売却し賃貸建物を購入することで、相続税評価額を引き下げることができます。
相続財産の評価額を減少させることで、相続税の課税対象額が減少することがあります。
賃貸建物は、「当該建物の固定資産評価額ー固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合」により評価されます。
建物の固定資産税評価額は、一般に、建築費の6割程度で評価されることが多いです。
また、単価の低い地域の土地を売却し、単価の高い地域の土地を購入することで、小規模宅地等の特例の評価減を大きく活用できることがあります。
つまり、小規模宅地等の特例は、適用を受けることができる上限の面積が決まっているため、土地の単価が高い方が有効に適用を受けることができるのです。
このような不動産の買い換えは、買い換えによって不動産の有効活用の効率性が高まったり、将来における流動性が高まったりするケースが望ましいといえるでしょう。
相続税対策をしたばかりに、不動産の保有が対策前よりも非効率にならないよう、買い換え資産の選定は、買い換え資産の収益性や流動性を慎重に見極めることが必要です。
不動産の買い換え時の注意点
ところで、不動産の買い換えについて、譲渡する不動産に値上がり益がある場合には、譲渡所得に対して所得税および住民税が課税されます。
一定の要件を満たす場合、特定の事業用資産の買換えの特例の適用を受けることにより、課税を繰り延べることができます。
事業用資産の売却をして、事業用の買換え資産を期限内に取得した場合、この譲渡による収入金額の70%~80%を超える金額に相当する金額の譲渡があったものとされます。
この特例の適用を受けて取得した買い換え資産の取得価額は、実際の取得価額ではなく、課税の繰り延べを受けた金額に対応する分だけ減額されることになります。
つまり、建物などの減価償却資産を取得した場合には、毎年の減価償却費が少なくなります。
また、将来において買い換え資産を譲渡する場合には、課税所得の計算における取得額が少なくなるのです。
結果としては、毎年の所得税や譲渡時の譲渡所得に対する税負担は大きくなります。
トータルの税額で考えると課税の繰り延べは減免とは違うのです。
まとめ
不動産の買い換えが相続税対策になることを紹介しました。
流動性の低い資産とされる不動産ですが、それを買い換えることで収益性が高まることにつながったりします。
買い手を見つけて実際に売却、となると時間を要します。
早め早めに考えていきましょう。