前回の振り返り
前回、相続預金の払戻しの重要性や、判例変更によって金融機関が負うリスクについて説明しました。
ここ数年の話ですが、最高裁が判例変更をしました。
それによって金融機関も対応の変化に迫られているので、相続人が以前の常識のままであれば面喰らうことになります。
今回は、被相続人が遺言書を残さず、また遺産分割協議前で預金を払戻すためにどうすれば良いか、説明していきます。
なお、金融機関はそれぞれその組織内部のルールに基づいて対応を行います。
より詳細には取引のある金融機関にお問い合わせください。
相続手続依頼書を書く
さて、被相続人が置かれている状況はそれこそ十人十色です。
遺言書を残さずに相続が開始した場合、預金を払戻す際は相続手続依頼書という書類を作成します。
それぞれ金融機関ごとにフォーマットが違いますので、フォーマットは払戻しを行いたい金融機関についてお問い合わせください。
さて相続手続依頼書の取引の相手方は、法定相続人全員となります。
法定相続人全員が署名し、捺印します。
被相続人の近隣で生活している相続人だけではなく、遠方で住んでいる相続人もこの書類を署名し、捺印する必要があるのです。
そして、その法定相続人であるということを確認する資料も提出します。
相続人が確定しないと手続きは進みません。
確認資料を集める
法定相続人であるという確認資料は、戸籍の情報です。
戸籍の全部事項証明を集めます。
まず、被相続人の誕生から死亡までの間が連続したものが確認資料の一つです。
そして、兄弟姉妹が相続人の場合は、被相続人の両親の誕生から死亡までの間が連続したものを集めます。
代襲相続の場合は、被代襲者(被相続人よりも先に死亡した法定相続人)の誕生から死亡までの間が連続したものも必要です。
さらに、各相続人の戸籍情報が必要になります。
その場合、上記で集めた戸籍情報と、相続人の印鑑証明書に表示された生年月日の一致をもって省略できるときがあります。
上記の戸籍の情報は、法定相続情報証明制度による登記官の証明文言付きの「法定相続情報」の写しで代用することもできます。
上記の戸籍情報に加えて、全相続人の印鑑証明書も必要です。
この実印で相続手続依頼書に捺印をします。
そのほか、預金払戻受領者の本人確認書類も必要です。
まとめ
提出を受けた戸籍情報により、すべての法定相続人を確定することができます。
上記の書類を提出してもらい、金融機関は全相続人の依頼によって相続人代表者へ預金を払戻されます。
書類に何が必要になるかなど、よく確認してスムーズに手続きをしたいものです。