相続の手続き

ネットバンクや仮想通貨の相続|デジタル遺産がある場合の注意点を解説

こんにちは、駆け出しファイナンシャルプランナーのmasa01です。

 

皆さんは、銀行や郵便局への預金・貯金以外のお金を持っていますか?

最近は電子マネーや仮想通貨など、現物以外のお金を持つ人が増えています。お金以外にも飛行機の「マイル」に代表されるようなポイント制度も同様です。

 

このような目に見えないお金のことを、「デジタル遺産」と呼ぶことがあります。

 

もはや日常生活では無くてはならないサービスばかりですが、相続の時は通常のお金と違う問題や注意点があります。

円満な相続を実現するために、デジタル遺産が持つ特徴と問題点を把握しておきましょう。

まず『デジタル遺産』とは

デジタル遺産に明確な定義はありませんが、「目に見えない形でweb上に保管されたお金」と理解でOKです。

 

今回は、お金に関するデジタル遺産とは何かを紹介します。

  • ネットバンク
  • ネット証券(株・投資信託・FX)
  • 仮想通貨
  • ポイント・マイル

デジタル資産として代表的なものは「ネットバンク」「ネット証券」「仮想通貨」です。従来の銀行や証券会社より手数料が安かったり、金利が高くて利益が出やすいといったメリットから、利用者が急増しています。

 

また今回は割愛しますが、お金と関係ないデジタル遺産もあります。代表的なものはiPhoneで撮影してクラウド上で保管されている写真等です。

 

デジタル遺産の問題点

今や10代から50代までに限れば9割以上の人がインターネットを活用しています。

日常生活には必要不可欠と言えるほど発達したデジタル通貨ですが、法整備の遅れなどによって相続で大きな問題になる場合があります。

 

デジタル遺産が持つ問題点は、以下のようなことが挙げられます。

  • 財産が発見されない場合がある
  • 「負のデジタル遺産」もある
  • 本人しか処分できない

1つずつ見ていきましょう。

 

財産が発見されない危険がある

通常の銀行預金であれば、故人の貴重品入れに銀行通帳があります。そのため、見つからないことは稀です。

しかし、ネットバンクなどのデジタル遺産は違います。

web上のアカウントで出入金の管理を行うため、預金通帳などはありません。また、スマートフォンやパソコンにロックがかかっていると、発見することは難しくなってしまうのです。

 

財産があること自体を認識できないため、探すこともできないのが大きな問題点と言えます。

 

「負のデジタル遺産」もある

デジタル遺産は、ネット預金や証券のようにプラスの遺産ばかりではありません。中には、お金を取られる『負のデジタル遺産』もあります。

ネット証券の【信託報酬】が代表例で、証券を買い付けるたびに一定の手数料がかかります。

 

デジタル遺産の存在が分からないということは、このような「お金が減り続ける遺産」にも気が付かないということです。

 

FXや仮想通貨のような騰落が激しい資産は特に注意が必要です。

亡くなってからの相場の暴落が原因で追証(追加証拠金)を請求されたり、仮想通貨においても「追加課徴金」を請求されることがあります。

 

存命のうちは本人しか処分できない

これは不動産などでも同じですが、存命中に本人が認知症等になってしまうと、管理することができなくなってしまいます。

家族が代理することができないため、認知症になったご本人がデジタル遺産を全て解約すると言っても止めることができません。

 

また、成年後見人制度を利用しても十分とは言えません。

通常の預金などと違って、そもそも見つからないことがあるからです。存在を把握できない以上、後見人であっても適切に管理できません。

 

元気なうちに片づける|本人ができること

本人が認知症になってしまったり、事故で急逝したりすると、デジタル遺産が遺族の手に渡らないことが考えられます。

1番の問題は『デジタル遺産の存在が知られない』ことですから、遺族が認識できるように元気なうちから準備を進めていきましょう。

 

デジタル遺産の存在を記録しておく|確実なのは遺言に残すこと

相続人がデジタル遺産の存在にさえ気づければ、あとは手続きによって処理できる場合があります。

そこで、まずはデジタル遺産の存在を遺族に伝えましょう。

紙に箇条書きして家族に渡しておくこともできますが、長い年月が経ったときには紛失してしまう心配があります。

また、パソコン上にデータで残しておいても、パソコンにログインできない場合は見ることができません。

 

最も確実な方法は、『公正証書遺言を作成し、公証役場で保管しておく』ことです。

 

ID・パスワードを記録する

デジタル遺産の存在が分かっても、適切に管理するためにはIDとパスワードが必要です。

パスワードは頻繁に変わることもあるため、アナログな方法でノートに残しておくほうが良いかでしょう。公正証書遺言は作るたびにお金と手間がかかるためです。

 

家族と『エンディングノート』を共有しておき、そこに最新のIDとパスワードを遺しておくことをおすすめします。

 

相続が発生したら|遺族が行うべきこと

ご本人が上記のような対策をしてくれてあれば、相続に際して遺族が困ることはないでしょう。

もし、準備不足のままで相続になってしまった場合は、遺族としてはデジタル遺産がないか必ず確認を行いましょう。

 

『あの人に限って、デジタル管理なんてしていないわよ』と思っても、確認をすることをおすすめします。

相続税の申告後に多額のデジタル遺産が発見されてしまうと、『申告漏れ』として多額の追徴課税が発生する場合があるからです。

 

故人のメール受信履歴を確認する

スマホやiPhoneのパスワードが分かるなら、メールの履歴を確認しましょう。メルマガや取引の履歴がメールで残されているため、デジタル資産を知る手掛かりになります。

 

預金通帳の明細を確認する

ネットバンクやネット証券を利用される方の中には、既存の金融機関から資金を移す方もいます。この記録が見つかれば、預金をデジタル遺産に移した可能性が高くなります。

 

銀行・ゆうちょなど手元にある通帳の取引履歴は細かく確認しましょう。

 

ネットバンクや仮想通貨の相続まとめ

今回は、ネットバンクや仮想通貨を持つ人の相続の注意点を解説しました。

もし、デジタル遺産の存在を全く知られないまま相続が始まると、遺族の労力は想像を絶するものになってしまいます。

 

円滑な相続を行うために、本人と家族の双方でデジタル遺産の情報を共有するようにしましょう。

その際は、ID・パスワードに加えてスマホのログインパスワードも忘れずに記録に残しておきましょう。

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