相続の税金

非課税財産とは|相続税のかからない非課税財産の分類やメリットを解説

財産相続=相続税が発生するというイメージが強いですが、実は相続税のかからない財産(非課税財産)もあるのです。大きく分けて7種類ありますが、今回はその中でも私たちに馴染みのあるものを重点的に解説します。

相続税のかからない非課税財産

相続税がかかるかかからないかの判断は、主に3つの考え方で分けられます。

  1. 国民的感情を考慮
  2. 公益性を考慮
  3. 社会政策や生活保障を考慮

これらの考えに基づいて、現在7種類の財産が相続税法により非課税となりました。

①国民的感情を考慮

言葉だけだと分かりにくいですが、これに当てはまるもので私たちの身近な物といえば、お墓や仏壇です。

相続が発生するということは、数百万単位の墓所に関わる出費が出るかもしれません。その際「お墓はどんなに高くても非課税になる」と覚えおくことで、ほんの少し気が楽になるでしょう。これには墓石や仏壇、神棚など日常礼拝に当てはまるものが対象です。

②公益性を重視

社会福祉事業や学校などを運営するための相続財産・遺贈は非課税対象です。これは民間での公益事業を保護する目的で制定されました。非課税対象となる細かい用件は、国税庁の法令解釈通達で確認できます。

③社会政策・生活保障について

これが一番身近な財産かもしれません。聞いたことあるかもしれませんが、死亡を原因として取得した生命保険金や死亡退職金は相続人の生活保障のために一部非課税となります。これはどちらも原則、法定相続人1人につき500万円が非課税限度額です。

また企業や行政から出る弔慰金も基本的に非課税財産として扱われます。その基準は業務上の死亡で給与の3年分、そうでない場合は給与半年分越えると、死亡退職金としてカウントされるようになります。

同じく相続人の生活保障として非課税財産の対象になるのはこちらです。

  • 心身障碍者扶養共済制度に基づく給付金
  • 国や地方公共団体、特定の公益法人などへの寄付財産

一度財産を相続し、現金に換えてから期限内に寄付しても相続税がかかりません。金銭・不動産など財産を寄付する場合は、自らの申告と相手方の証明書が必要です。

生命保険金でよくあるケース

生命保険金が非課税財産として扱われるケースを詳しく解説します。

生命保険金を被相続人の配偶者が2000万円、子供2人が1000万円ずつ受け取るケースを例にしましょう。今回は子供の一人は相続放棄したと考えます。

  1. まず保険金の非課税限度額を算出します。これは相続放棄した法定相続人の人数も含むため、今回は500万円×3人で1500万円が限度額となります。
  2. 限度額は1500万円ですが、個人の受取金額の割合を使いこの非課税1500万円をさらに2人に分配します。
  3. 配偶者は1000万円、相続する子供は500万円が非課税財産となります。相続放棄した子供の1000万円は全額が相続税の課税対象となってしまいます。

そもそも相続放棄した1人の子供が、相続財産である生命保険金を受け取れるのかどうかと考えられます。しかし生命保険金や死亡退職金は「みなし相続財産」であり、民法上の相続財産ではありません。そのため相続放棄したとしても、本来受取人として契約していた人は相続税はかかれど、ちゃんと受け取れます。

節税対策としては、配偶者は生命保険金以外にも配偶者控除の特例があります。生命保険金の受取額を多めにすることで控除枠も増えるため、非課税と認められる財産が少ない子供を受取人にする方法がよく活用されます。

まとめ

今回は非課税財産の中でも、特に私たちの生活に近い生命保険金を解説しました。

控除額が大きい生命保険金・死亡退職金はもちろんですが、高額な墓所や仏壇なども非課税になります。節税対策を考えている方は、生前にお墓についてや生命保険金の受取人についても話し合いましょう。

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