不動産 空き家
相続の法律相続対策

相続する不動産が空き家だった時の問題点3つと活用法

「両親が亡くなったら空き家はどうすればいいだろう」

「空き家を相続放棄できるのか知りたい」

この記事は、空き家を相続することに不安を感じている人に向けて書かれています。現代は管理されていない空き家が増加傾向にあり、誰もが空き家を相続する可能性があります。

万が一のために、空き家の処分方法を知っておくことは大切なことなのです。

 

空き家を取得する要因のほとんどは「相続」

売却することが難しい空き家を、なぜ所有してしまうのでしょうか。もっとも典型的な事例は「両親の自宅を相続する」ことです。

相続人と両親が別々に暮らしている場合、誰もその家に住む人がいなくなって空き家になってしまいます。

相続人が遠方に住んでいることで空き家の管理ができず老朽化して放置してしまうことで近隣住民まで巻き込んだ問題に発展することもあります。

本来は相続人の誰が管理するか決めますが、処分が困難な空き家は誰も取得したくないのが本音でしょう。

 

相続権のある人全員の共有で管理する

空き家の相続が発生した場合、相続の権利がある人全員が空き家を管理する責任を負います。 適切な管理ができずにほかの人に損害を与えた場合、責任は相続人全員にあるのです。

ただし、管理ができない場合は専門業者に管理業務を委託することもできます。その場合はトラブルにならないよう、相続人全員の同意が必要です。

 

空き家を相続放棄しても管理責任は残る

空き家を相続したくない場合は、一切の財産分与を放棄する「相続放棄」を選択するのも1つの方法です。

ただし、放棄したからと言って空き家を管理する義務の全てが免責になるわけではありません。空き家の管理責任は、新たな管理責任者が見つからない以上は相続放棄をしても続きます。

空き家同然の空き家を放置しておくことで近隣に何らかの被害を与えた場合は、相続放棄をしていても賠償責任を負う可能性は否定できません。

 

根拠条文:民法940条第1項

相続放棄しても不動産の管理責任が残る根拠は、民法940条に書かれています。

相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

つまり、「相続を放棄しても新たな相続人が管理をキチンとはじめるまでは、管理責任が残る」ということです。

 

空き家だけを相続放棄することはできない

相続放棄すれば、次の管理責任者が明確になれば管理責任は無くなります。ただし、空き家だけを相続放棄するといった都合の良い使い方はできません。

資産価値のある財産も含め、全てを放棄しなければならないのです。空き家以外にも多額の財産が残されている場合は、相続放棄が実質的にできなくなります。空き家の問題点を把握したうえで、「いかにして活用していくか」を考えていくほうがいいでしょう。

 

空き家を相続した場合の問題点3つ

空き家を相続することで、さまざまな問題点やリスクを抱え込むことになります。ここでは、空き家を持つことで抱えることになる代表的な問題点を3つ紹介します。

 

1.定期的な維持費が発生する

住宅は人が住んでいるから劣化するのではありません。人が住んでいない場合はメンテナンスが行き届かないため、むしろ早く劣化が進むと言われています。

台所やふろ場などの水回りや、屋根の防水や外壁の塗装など、空き家であっても定期的な修繕・メンテナンスは必要です。

 

2.行政代執行による取り壊しのリスクがある

放置している空き家が周辺に悪影響を及ぼします。あまりに悪影響な空き家は、最終的に行政代執行によって空き家は取り壊されることになるのです。

行政代執行の費用は管理者である相続人に請求されます。

 

3.固定資産税が6倍になるリスクがある

通常の不動産であれば、敷地面積が200㎡以下の場合、土地の固定資産税が1/6になります。この軽減特例から外れる場合、固定資産が実質6倍になってしまうのです。

空き家をそのまま放置しておくと指定される「特定空き家」が、軽減対象外の典型例です。

 

空き家の活用方法

空き家を相続した場合、どれだけメンテをしても老朽化が進み、最期は行政代執行につながるリスクがあります。そのままにせず、現金に換えるか賃貸をするかの選択を行うことが賢明です。

 

売却する

空き家を売却すれば現金化され、その後の管理責任も問われません。少子化によって住宅需要が減る一方であることからも、売れるのであれば一刻も早く現金化してしまうのが賢い選択でしょう。

注意点としては、売却には登記が必要という点です。相続による所有権移転登記を終わらせないと、不動産を売却することはできません。

 

賃貸する

放置していればお金が出ていく一方の空き家でも、賃貸することで賃料が入り、管理費に充てることができます。人が住むことで水回りなどはメンテされやすくなり、老朽化を防ぐことにもつながります。

 

まとめ

今回は、空き家を相続した時の問題点と解決方法の一部を紹介しました。固定資産税が6倍になる等で管理コストが大きくなるため、できるだけ早く活用方法を見い出すことが必要になります。

おすすめ